事業開始時の労災・雇用保険・健康保険
・ 会社設立又は個人事業を開始して従業員を一人でも雇った事業主は、雇用保険と労災の手続きが必要です。
・ 雇用保険料は総支給額に以下の率を掛けて計算します。
【雇用保険料率】令和元年12月現在
事業の種類 | 事業主負担率 | 被保険者負担率 |
一般 | 6 / 1,000 | 3 /1,000 |
農林水産・清酒製造業 | 7 / 1,000 | 4 /1,000 |
建設業 | 8 / 1,000 | 4 /1,000 |
・労災は事業主が全額保険料を負担します。
・社会保険料は賃金によって細かく分類されています。
詳しい数字をお知りになりたい方は以下をご参照下さい。
平成31年4月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表 全国健康保険協会 保険料額表 |
・会社設立の場合は、従業員がいなくても常勤役員が1人でもいれば、社会保険の加入が義務づけられています。
・個人事業主は、従業員が5人以上になると社会保険の加入が義務づけられています。
【社会保険の加入義務】
組織 | 常勤者の人数 | 区分 | |
法人事業所 | 常勤者が1人以上いれば | 強制適用 | |
個人 事業所 |
農林水産、飲食店、旅館、 その他のサービス業 |
人数を問わず | 任意適用 |
製造業、卸売業など 上記以外の業種 |
常勤者が5人以上 | 強制適用 | |
常勤者が4人以下 | 任意適用 |
入社時必要書類
【社会保険関係(健康保険&厚生年金)】
○マイナンバーがわかるもの
下記のいずれか
・ マイナンバー通知書のコピー
・ マイナンバーカードのコピー
・ マイナンバーが記載された住民票
○扶養家族に関しては会社に以下のものを届け出て下さい。
※学生でない子もアルバイト等の収入が130万円未満で被保険者の収入の1/2以下の時は扶養家族として健康保険に加入出来ます。
【雇用保険関係】
○雇用保険被保険者証
・ 紛失した場合は、以前に雇用保険を掛けていた会社名をお知らせください。ハローワークに届けて雇用保険被保険者番号を確認します。
マイナンバーも必要です。
傷病手当金
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
A. 傷病手当金が受けられるとき
傷病手当金は、被保険者が病気やけがのために働くことができず、連続して3日以上勤めを休んでいるときに、4日目から支給されます。
ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。
B. 支給される金額
支給額は、病気やけがで休んだ期間、一日につき、標準報酬日額の6割に相当する額です。なお、働くことができない期間について、ア、イ、ウに該当する場合は、傷病手当金の支給額が調整されることとなります。
(ア) 事業主から報酬の支給を受けた場合
(イ) 同一の傷病により障害厚生年金を受けている場合(同一の傷病による国民年金の障害基礎年金を受けるときは、その合算額)
(ウ) 退職後、老齢厚生年金や老齢基礎年金又は退職共済年金などを受けている場合
(複数の老齢給付を受けるときは、その合算額)
・ ア〜ウの支給日額が、傷病手当金の日額より多いときは、傷病手当金の支給はありません。
・ ア〜ウの支給日額が、傷病手当金の日額より少ないときは、その差額を支給することとなります。
健康保険からの出産時給付金
A. 出産育児一時金
被保険者が出産をしたときは、1児ごとに42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は39万円(平成27年1月1日以降の出産は40.4万円))が、出産育児一時金として支給されます。
正常な出産のときは病気とみなされないため、定期検診や出産のための費用は自費扱いになります。
異常出産のときは、健康保険が適用されますので療養の給付を受けることができます。
多生児を出産したときは、胎児数分だけ支給されますので双生児の場合は、出産育児一時金は2人分になります。
ひと昔前までは、まず自分で立替えて払い、後から出産育児一時金を請求するという流れでしたが、現在では「直接支払制度」というものがあり、立替えて支払う必要はなくなりました。たいていの病院でこの手続きをしてくれると思います。
B. 出産手当金
被保険者が出産のため会社を休み、事業主から報酬が受けられないときは、出産手当金が支給されます。
これは、被保険者や家族の生活を保障し、安心して出産前後の休養ができるようにするために設けられている制度です。
a. 出産手当金が受けられる期間
b. 出産が予定よりおくれた場合
c. 支給される金額
会社を休んだ期間について、事業主から報酬を受けられる場合は、その報酬の額を控除した額が出産手当金として支給されます。
障害補償給付(障害給付)
業務上又は通勤による傷病が治った(治ゆ)あと、身体に一定の障害が残った場合に支給されます。
障害補償給付(障害給付)には、障害の程度に応じ障害補償年金(障害年金)と障害補償一時金(障害一時金)とがあります。
障害補償年金(障害年金)・・・毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の6回に分けて支給されます
障害補償一時金(障害一時金)…給付基礎日額に相当する額が一時金として支給されます
障害等級 | 給付額(年金) | 障害特別支給金 (一時金) |
障害特別年金 (年金) |
第1級 | 給付基礎日額の 313日分 |
342万円 | 算定基礎日額の 313日分 |
第2級 | 給付基礎日額の 277日分 |
320万円 | 算定基礎日額の 277日分 |
第3級 | 給付基礎日額の 245日分 |
300万円 | 算定基礎日額の 245日分 |
第4級 | 給付基礎日額の 213日分 |
264万円 | 算定基礎日額の 213日分 |
第5級 | 給付基礎日額の 184日分 |
225万円 | 算定基礎日額の 184日分 |
第6級 | 給付基礎日額の 156日分 |
192万円 | 算定基礎日額の 156日分 |
第7級 | 給付基礎日額の 131日分 |
159万円 | 算定基礎日額の 131日分 |
第8級 | 給付基礎日額の 503日分 |
65万円 | 算定基礎日額の 503日分 |
第9級 | 給付基礎日額の 391日分 |
50万円 | 算定基礎日額の 391日分 |
第10級 | 給付基礎日額の 302日分 |
39万円 | 算定基礎日額の 302日分 |
第11級 | 給付基礎日額の 223日分 |
29万円 | 算定基礎日額の 223日分 |
第12級 | 給付基礎日額の 156日分 |
20万円 | 算定基礎日額の 156日分 |
第13級 | 給付基礎日額の 101日分 |
14万円 | 算定基礎日額の 101日分 |
第14級 | 給付基礎日額の 56日分 |
8万円 | 算定基礎日額の 56日分 |
なお、傷病が治った(治癒)直後においては、被災労働者は社会復帰等を行うに当たって一時的に資金を必要とすることが多いため、障害保障年金(障害年金)受給権者の請求に基づいて、一定額まとめて前払いする障害保障年金前払一時金(障害年金前払一時金)制度があります。
基本手当(いわゆる失業給付)とは
●雇用保険被保険者の方が、定年、倒産、自己都合等ににより離職し、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるものです。
●所定給付日数(基本手当の支給を受けられる日数)は、離職日の年齢、被保険者期間、離職理由等により、90日〜360日の間で決められます。特に倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者(特定受給資格者)については一般離職者に比べ手厚い給付日数となる場合があります。
基本手当受給要件
●ハローワークに来所して求職の申込みを行い、就職しようとする意思・能力を有するにもかかわらず、努力しても職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
●離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
※被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と計算します。
基本手当受給手続
●管轄のハローワークで求職申込みをしたのち、「離職票」を提出します。受給資格確認後、受給説明会の日時が指定されます。
●受給説明会に出席し、雇用保険制度についての説明を聞きます。「雇用保険受給資格者証」、「失業認定申告書」が渡され、第一回目の「失業認定日」が指定されます。
●原則として4週に1度、失業状態にあることの確認があります。指定日にハローワークに行き、「失業認定申告書」に就職活動状況等を記入し「雇用保険受給資格者証」とともに提出します。
※季節雇用の被保険者(短期雇用特例被保険者)は、認定日は1度のみです。
介護休業給付
雇用保険の被保険者が、家族の介護のために介護休業を取得した場合に支給される給付。一人の家族につき1回(最大3ヶ月間)支給されます。
●基本的な受給要件
護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(基本手当の受給資格の決定を受けたことがある方はその後のものに限る)が12ヶ月以上あること。
●支給額
原則として休業開始時点の賃金月額の40%相当額。
埋葬料および埋葬費
被保険者が亡くなったときは、埋葬を行う人に埋葬料または埋葬費が支給されます。
A 埋葬料
被保険者が死亡したときは、埋葬を行った家族(被保険者に生計を維持されていた人であれば、被扶養者でなくてもかまいません。)に埋葬料が5万円支給されます。
B 埋葬費
死亡した被保険者に家族がいないときは、埋葬を行った人に、埋葬料の額の範囲内で、埋葬にかかった費用が埋葬費として支給されます。